第9弾:高齢者の方に多い「新型栄養失調」

現代でも、経済的理由以外の理由で栄養素が不足してしまうことがあります。その多くは、高齢者の方にみられます。麺類やお茶漬けなどさっぱりとしたものだけで食事を済ませたり、歯を失ったことで硬いものを避けるようになったりなどで、栄養が不足してしまうからです。単身者の場合は調理をしなくなったり、足腰の不具合など体調が原因で買い物が出来なくなったりした場合も、栄養不足を招きがちです。

これはダイエット中の若い女性だけでなく、子供や中年世代の一部の人にも見られる傾向です。食事が偏っていたり、同じものばかりを食べているケースもその原因と言われています。この状態が「新型栄養失調」と言われます。

タンパク質が体を作り、守る

タンパク質は「筋肉や臓器」、さらに「免疫・細胞」をつくる材料です。筋肉量が減少すると太りやすい体質になってしまったり、免疫細胞が不足すると感染症のリスクが増えます。また、赤血球中のヘモグロビンの材料でもありますので、貧血の心配が考えられます。新型栄養失調の中でも、タンパク質不足が招く影響は甚大です。簡単な食事で不足しやすい肉や魚、大豆製品などをしっかり取ることが重要です。摂取カロリーは足りているのに、タンパク質やビタミン、ミネラルといった特定の栄養素が不足してしまいます。

カルシウム不足

人の健康維持に欠かせない必須ミネラルの中でも一般的に日本人に不足しているといわれているのが「カルシウム」です。人間の骨は絶えず作り直されているため、カルシウムが不足すると骨がもろくなってしまうリスクが高くなります。長期間続くと骨量が減少し、骨粗しょう症の原因となってしまうのです。

マグネシウム不足

次いで不足しがちなミネラルは「マグネシウム」です。そこには日本人の主食の変化も関係しています。玄米や全粒粉のパンと、白米や白いパンを比べるとマグネシウム量が格段に少ないのです。

玄米の代わりに白米を食べるようになったこと、パン食が増えたことなども、マグネシウム不足の一因と考えられます。マグネシウムが不足すると、狭心症や心筋梗塞などのリスクが高くなることや、ブドウ糖をエネルギーに変える効率が悪くなってしまうことが考えられます。そのため、新型栄養失調の一つといえるマグネシウム不足が、糖尿病疾患の増加にも関連していると指摘する専門家もいるほどです。新型栄養失調の対策としては、食事のバランスに勝るものはありません。

少しの意識、今日から始めましょう!